ICL手術を受けた101号室の佐藤(38歳)です。
レーシックに比べて知名度が低いICL(アイシーエル)ですが、強度近視や角膜の厚さ、目の形状によってレーシックが不適合とされた人にも手術が可能なことをご存知でしょうか?
ICLは角膜を削らずに眼内にレンズを挿入するため、削られた角膜の再生の必要性がなく、可逆性があることが大きな特徴です。
可逆性がある=眼内のレンズを取り出せば元通り!
しかし、ICLの情報は病院発信のサイトが多く、集客目的の内容になってしまっていることも事実です。そこで、ICLを実際に受けた一般人の私が、医療関係者ではない立場からわかりやすくICLとは何かを説明していきます。
ICLの知名度がもっと広まって皆さんの選択肢が増えるといいなと願っています。
レーシックとは?
レーシックとは、近視、遠視、乱視などの視力矯正手術の一つです。
角膜を切開してレーザーで形を変えることによって、視力を改善する手術です。
レーザーで削った角膜が元に戻ることはありません。
削った角膜は再生しないの!
レーシック手術については別の記事に詳しくまとめています。
ICL(アイシーエル)とは?
ICLとは、専用のレンズを眼の中に挿入することによって、視力を改善する手術です。
眼内コンタクトレンズとも呼ばれています。
レーシックと比べて、度数の制限が少ない特徴があります。
ICL手術の概要
眼の中にレンズをどうやって挿入するのかというと、眼球の一部を切って畳んだレンズを入れます。
眼球を切ると言っても、3mm程度です。
長方形のような形の幅12~13mmぐらいのレンズを折りたたんだ状態で、切った部分から眼の中に入れて広げます。
レンズを入れる眼球内の位置は2種類あり、それぞれを前房型と後房型と呼びます。
前房型ICL手術
虹彩と角膜の間の前房という空間にレンズを挿入する方法です。
レンズは虹彩と角膜に挟まれた位置に固定されます。
レンズは小さく折り畳まずに挿入するので、眼球は約6mm切ります。
角膜からの距離が近いので、角膜内皮障害のリスクが後房型レンズより高くなります。
前房型で使用されるレンズは、オランダのOphtec社の『アルチフレックス』と『アルチザン』です。
後房型ICL手術
水晶体と虹彩の間の後房という空間にレンズを挿入する方法です。
レンズは水晶体の後ろに固定されます。
レンズを折りたたんで挿入して広げるので、眼球は約3mm切ります。
瞳孔機能に影響がなく、角膜内皮障害のリスクが少ないと言われています。
しかし、水晶体に近いので白内障の発生のリスクは前房型レンズよりも高くなります。
※デザインの改良により白内障のリスクがかなり減っています!
後房型で使用されるレンズは、スター・サージカル社の『ICL』です。
一般的なICL手術は後房型です!
『ICL』と呼ばれているものは、後房型のものを指します。
ICLの色々な呼び方
ICLは「Implantable Contact Lens(インプランタブル コンタクトレンズ)」の略です。
Implantable=埋め込み型!
しかし、クリニックでもらった資料には「フェイキック手術ガイダンス」と書かれていました。
Phakic(フェイキック)=水晶体!
ICLについて調べていると「フェイキックIOL(Phakic Intraocular Lens)」という表記もよく見かけます。
英語を訳すと下記の意味です。
・Phakic=水晶体
・Intraocular=眼内
・Lens=レンズ
フェイキックIOLというのは、日本語で言うと「有水晶体眼内レンズ」です。
いっぽうで、ICLというのは、アメリカのスター・サージカル社(眼科医療機器会社)の後房型レンズの製品名です。
一番最初に厚生労働省に承認されたフェイキックIOLがICLです。
フェイキックIOLというジャンル(有水晶体眼内レンズ)の中に、『ICL』という製品があります。
「パン」というジャンルの中に「メロンパン」があるような感じ!
ちなみに、2021年4月にスター・サージカル社のICL治療アンバサダーに河北麻友子さんが就任されました。
河北さんもICL手術を受けています!
ホールICLとは?
一昔前のICLは、眼内の房水(眼の中を循環している水)の流れが悪くなり、眼圧が上がってしまい術後に緑内障になってしまうリスクが高い物でした。
眼内の房水の流れを作るために、レンズに穴(ホール)を開けたものをホールICLと呼びます。
ホールICLは2014年に厚生労働省の認可が下りていて安全性も問題ありません。
穴のサイズは0.36mmです。
穴があいていることにより、目の中の房水の流れを妨げることがありません。
今のICLはホールICLが主流です!
ICL手術の流れと切る眼球の位置
ICL手術の流れです。
1.白目と黒目の境目を3ミリ程度切る
2.折りたたんだレンズを挿入
3.レンズを広げる
4.広がったレンズを固定させる
以上です!
皮膚と違い、切った部分を縫うことはありません。
切開部分が塞がるまで時間はかかりますが、自然と塞がります。
レーシックがほとんど機械でオートメーションが多い手術に対し、ICLは医師の手によって切開、レンズ挿入をするため手術時間は合計約30分でした。
(私が手術したクリニックでは、両目でレーシックは10分程度・ICLは30分程度とのこと。)
次に、ICL手術で眼球を切る位置について説明します。
一般的には、白目と黒目の境の横(目尻側)を切ります。
でも私は両目ともに上部を切られていました!
上部を切られた理由は、軽度の乱視があったためです。
上からレンズを挿入したほうが乱視を抑えることができるため、上から挿入しています。
※レンズは乱視用ではなく通常のレンズを挿入。
乱視が強い場合は、乱視用のレンズを挿入することになりますが、この場合は通常通り横からの挿入です。
病院によって対応が異なります。
上記は、私が手術を受けた病院の話です!
手術後は白目と黒目の堺を切った部分に血が滲んでいて、ここ切ったな!とすぐにわかります。
私の場合は4,5日で滲んでいた血は消えました。
レーシックより長いICLの歴史
ICLと比べるとレーシックの方が耳にすることが多いと思います。
私はずっとレーシックを検討していて、「ICL」という言葉を聞いたことすらありませんでした。
ICL手術後の健康診断で目の検査時に目の矯正について聞かれ、「ICLを入れています。」と回答したところ、「ICLって何ですか?」と看護師さんに聞かれたこともあります。
健康診断で目の検査担当者でも知らないICL!
知名度は低めなのかもしれません。
しかし、ICLはレーシックより長い歴史があるのです。
▼ICLの歴史
1986年 ヨーロッパで初めて使用される
1997年 ヨーロッパでCEマーク取得
2003年 日本で臨床治験
2005年 アメリカFDA 医療機器として承認
2010年 厚生労働省の承認(乱視なし)
2011年 厚生労働省の承認(乱視あり)
2011年 ヨーロッパでホールICLがCEマーク取得
2014年 厚生労働省の承認(ホールICL)
いっぽうでレーシックは1990年にギリシャのパリカリス博士によって考案されたので、ICLの方が先輩と言えるのでしょう。
歴史が長いと安心感が増します。
ICLのメリットを解説
ICL手術は怖いですが、メリットの方が多いと判断したので手術に踏み切りました。
術後2年以上経過しましたが、特にトラブルもなく視力も維持しています。
今のところ、ICL手術をしたことに全く後悔はありません。
一切後悔がないからこそ、おすすめできます♪
ICL手術経験者としてメリットを解説していきます!
元に戻せる!
万が一何かトラブルが生じたときは、眼球からICLを取り出すことができます。
取り出してしまえば元通りで可逆性があるという点は大きな特徴です。
レーシックの場合は角膜を削る為、元に戻すことはできません。
元に戻せる=可逆性がある点
レーシックは片道切符、ICLは往復切符のイメージです。
トラブルが生じたら、入れたレンズを取り出して元に戻せばいいのです。
近視戻りがない
レーシックと異なり、角膜を削ることはないので近視が戻ってしまうリスクがありません。
「近視戻り」については別記事をご参照ください。
ドライアイの影響がほぼない
角膜を削らないICLは、手術の影響でドライアイになることはほぼ無いようです。
レーシックは角膜を削る為、神経が損傷してしまいドライアイになってしまう可能性があります。
強度近視・遠視・乱視でも施術可能
レーシックでは難しい範囲の強い近視でもICLでは可能な場合が多いです。
視力に関しては、自分の視力に対応しているレンズさえあれば、対応可能なのです。
見え方の質が高い
レーシックとは違い角膜を削らないので、レーシックよりICLのほうが見え方の質が高いとされています。
紫外線カット
ICLのレンズは、紫外線カット機能が備わっているので紫外線をカットできます。
一見裸眼だけど紫外線カットしてくれるのは嬉しい!
災害時に安心
地震などの災害時に、メガネやコンタクトレンズがないから見えないということがないので安心です。
以前会社の後輩が、“夜中にマンションの火災報知器が鳴り響き、慌てて裸眼のままパジャマで外に出たけどよく見えなくて困った”と話していました。
災害時は命最優先!まずは逃げますよね
しかし逃げたものの、よく見えなければ足元や頭上に何があるかわからず危険です。
・地震で眼鏡が割れたら?
・水が止まって衛生環境が悪い中でコンタクトを清潔に保てるか?
・裸眼で避難生活できる?
など、災害と視力には切っても切り離せない問題があります。
ICL手術をしたことにより、どんなときでもまずは逃げることに集中できます。
入浴施設で快適
ICL手術をしてからは、大好きなスーパー銭湯での快適度が格段に上がりました。
メガネとコンタクト生活の時は、銭湯や温泉に行った際に浴場内ではよく見えない状態でした。
コンタクトレンズは「お風呂やサウナでは外すように」とされています。
特にドライサウナだと、レンズが急速に乾いてしまうため危険です。
よって、いつも裸眼でお風呂に入っていたので落ち着かない場面も多かったです。
ICL手術をしてからは、視界が良好なので銭湯や温泉でもより楽しめるようになりました。
ICLのデメリットを解説
ICLにもメリットだけではなく、デメリットもあります。
ただ、総合的に見ると個人的にはレーシックよりメリットが大きいと感じています。
高額
ICLは、金額が高い!値段が高い!価格が高い!お金がかかる!高額!値が張る!高値!高価!
色んな言い方しましたが、とにかく手術費用が高いんです!
レーシックよりもICLの方が高額です。
レーシックの2倍程度と考えてください。
私の場合、紹介チケットでの3万円割引後の価格が507,000円(税込)でした。
金額については別記事を参考にしてください。
参考:レーシック・ICLの金額比較&保険と医療費控除
品川近視クリニックであれば紹介チケットを発行可能です。
問い合わせフォームからご相談ください。
金額は手術を検討するにあたり、大きな問題になる部分。
私自身、手術の内容的にはICLがいい!と思いつつ躊躇ってレーシックにしようと思っていたのはICLが高額だった為でした。
手術時間が長い
ICLの手術時間は約30分程度ですが、レーシックと比べると長いです。(レーシックは10~15分程度)
レーシックは機械でオートメーションで行われるのに対し、ICLは医師の手によって行われる手術なのでどうしても時間はかかってしまいます。
30分くらいなら、と思われる方もいるかもしれませんが、人生最大の恐怖が30分も続いたため精神的な疲弊はとても大きかったです。
術後の制限が多い
レーシックと異なり、ICLでは目を切ります。
よって感染リスクも高くなるので、レーシックより術後の制限がやや厳しかったです。
1週間、洗髪・洗顔・入浴不可・飲酒禁止などです。
会社勤めの人は厳しいように思う制限内容でした。
ただ、目にバイ菌が入って化膿して失明したり、目にトラブルがあっては大変なので術後はしっかり制限に従いましょう!
ハロー・グレア現象
ICL手術後でも、レーシック同様にハロー・グレアの症状は出ることがあるようですが角膜を削っていない為、影響はレーシックより軽度と言われています。
私自身、夜街灯を見ると光の輪が見えますがそこまで気になるものではありません。
これはレンズにあいている穴の影響のようです。
むしろちょっと“綺麗だな”と思っていて、あえて街灯を見つめることも
目の形状によっては手術不可
水晶体と虹彩の間の狭いスペースにレンズを挿入するため、角膜と水晶体の距離(前房深度)が浅い場合は難しい手術です。
目の形状や状態によって手術不可能な場合があります。
自分ではわからない事なので、クリニックでしっかり検査をしましょう。
頭に強い衝撃を受ける人はNG
スポーツなどで頭に強い衝撃を受ける人は、レンズがずれてしまう可能性があるのでICLは適さないです。
むしろレーシックの方が合っているでしょう。
ボクシングなど格闘技をする人や、物凄く腹が立つ人に人生を掛けた全力の頭突きをする予定がある人はICLは向かないでしょう。
ただ、滅多なことではレンズはズレないと説明を受けました。
ICLをおすすめしない理由もある
ICLは手術自体が物凄く恐怖だったので、恐怖の観点からはおすすめできません。
しかし、日常生活の便利さや目の快適さという健康目線でいうと非常におすすめです。
コンタクト装着時のドライアイに長期間悩まされたから、もっと早くやっておけばよかった!
老眼が発生すると、ICL手術も断られることがあるので40歳になる前に決断しましょう。
角膜を削らないことからもレーシックではなくICLを選んでよかったと思います。
見え方も安定しており、メガネやコンタクト不要の生活があまりにも快適で後悔はないです。
ICL後は視力が回復するので、免許証を持っている方は眼鏡等の条件を解除することも忘れないようにしてくださいね!