面白グッズ・珍グッズを紹介している岐部商店の店長キベです。
今回は2022年に3年ぶりに横浜刑務所で開催された「第50回横浜矯正展」の模様をお届けします。
コロナ禍のためリモートで行われた施設見学や、今年初の試み護送車乗車体験、先着250名プレゼントの内容、会場の様子などを詳しく綴っていきます。
刑務所の矯正展ってどんな感じなの?と思っている方が大半かと思うので、画像多めでイメージが湧きやすいようにお届けします!
※矯正展エリア内は撮影禁止のため、刑務所の方に確認した撮影OKの場所から撮った画像でお届け。
横浜刑務所だけではなく、各地の刑務所作業製品も手に入るので、他の刑務所矯正展で販売している製品が気になる方も参考にしてください。
筆者:キベ
元々裁判傍聴が趣味。開廷から閉廷まで裁判所で過ごしていた時期あり。(お昼は裁判所の食堂)
傍聴したことがある裁判所は札幌、仙台、東京、横浜。2021年にはニュースになった殺人犯の傍聴も経験。傍聴だけではなく、裁判後の収監生活にも興味を持っている。
初めて刑務作業製品を手にしたのは小学校低学年時。
府中刑務所文化祭にて、競争率が高い刑務所見学ツアーを体験した経験もある。
横浜矯正展とは
『矯正展』とは全国の刑務所で開催されているイベントで、受刑者が作った刑務作業製品を展示・販売したり、刑務所での生活や再犯防止活動などパネル展示をしたり、刑務所の矯正行政を国民に理解を広めるために行われています。
全国各地の矯正展情報は法務省のサイトで公表されているので、ぜひお住まいの地域の矯正展の情報を調べて行ってみましょう!
矯正展に行くまでは、刑務所のイメージは「汚い」だったのが、府中刑務所文化祭に行ってからは「キレイ」にイメージが変わりました。
何事も足を運んで自分の目で見なければわからないものです。
厳しく管理されているから、作業場も敷地内もきれい!
横浜刑務所で行われる矯正展を『横浜矯正展』といいます。入場料は無料です。
駐車場はありません。授乳室と喫煙スペースは設けられています。
横浜刑務所へのアクセスは、横浜市営地下鉄「港南中央駅」から徒歩約10分・京浜急行「上大岡駅」から徒歩約15分です。
横浜刑務所情報
横浜刑務所は横浜市港南区にある定員約1,200名の刑務所です。
原則26歳以上の無期懲役受刑者を含む犯罪傾向が進んだ男子受刑者を収容しています。
特徴的な点は、全国75の刑事施設(刑務所・少年刑務所・拘置所)の中で横浜刑務所だけに食品加工製造工場が備わっている点です。
横浜刑務所で作られる乾麺は有名で味の評判が高く、全国のキャピック(刑務所作業製品)の中で売上2位を誇ります。
ちなみに1位は、横須賀刑務所のブルースティック(部分汚れ専用洗濯石鹸)です。
横浜刑務所の収容分類
B級 再犯者・暴力団関係者の初犯者
F級 外国人受刑者(ForeignerのF)
2022年横浜矯正展の様子
2022年の横浜矯正展は、11月5日(土)9時~16時に開催されました。
横浜刑務所の敷地内に入るとまず、検温と手指消毒を行いました。
検温&消毒後は目印としてマスクにシールを貼ります。
シールは港南区の鳥「シジュウカラ」と港南区の花「ひまわり」をアレンジしたひまりーという横浜刑務所のイメージキャラクターのシールです。
ひまりーの性別は「ひ・み・つ」と公表されています。
このシール、不織布に貼り付かなくて何度も剥がれた!
外でのイベントなので、風で髪が動いたときにこの粘着力激弱シールを絡め取ってしまうのです。
知らない方に「取れてますよ」と声もかけられました。
コロナ以降初の開催だったので初の試みなのかもしれませんが、来年以降は改善してほしいポイント。
不織布マスクにシールはすぐに剥がれます!!
先着250名に来場者プレゼントがあったので、9時開始ですが早めの8時45分から並びました。
すでにずらーっと列になって並んではいましたが、100人弱程度の印象。
来場者プレゼントは余裕でもらうことができました。
来場者プレゼントは大人気製品「ブルースティック」の75g・非売品バージョンでした!
販売されているものは、150gなので半分のサイズです。
9時から港南区長と所長の挨拶があり、テープカットのセレモニー後に開場となりました。
挨拶の中での「楽しみながら理解しよう」という言葉が印象的でした。
まさに矯正展の目的を簡潔に述べた内容!
横浜矯正展 会場図
横浜刑務所の敷地内は真ん中に通路があり、通路を挟んで左右に会場が分かれています。
黄色のアーチがある会場が第一会場。通路を挟んで向かい側に第二会場があります。
第一会場がメインで広め。
画像に写っている範囲だけではなく、左手にも会場が広がっています。
アーチをくぐって正面奥に護送車の展示があります。
その手前の左手にリモート施設見学の受付があります。
エリア内に庁舎があり、1階は少年施設・職員広報ブース、2階は全国の社会貢献作業・居室模型展示・食事の展示、3階はリモート施設見学・歴史物とアイソレーションガウンの展示となっていました。
横浜刑務所の販売は第二会場でした。
革靴・サンダルが「本日のみ10%OFF」でした。
支払い方法について
各ブースによって支払い方法が異なります。
現金のみのブースもありましたが、カード類が使えるブースもありました。
カード類が使用できるブースでは下記の決済が可能でした。
VISA・Master・JCB・アメックス・ダイナース・ディスカバー
楽天Edy・nanaco・WAON
Suica・PASMO等の交通系IC
RPay・d払い・aupay・メルペイ・ゆうちょPay
※PayPayは使用不可でした。
護送車乗車体験
実際の護送車に乗車することができました。今年初の試みとのこと。
運転席と後部座席はしっかり仕切られて遮断されていました。
窓にはパイプが数本取り付けられてあります。
驚いたのが最後部に簡易のトイレが備わっていること。
移動時にトイレに行きたい!となっても、外の公衆トイレ等の利用はリスクが高いことが想像できるよね
たまに車道で見かける護送車。
中がどうなっているのか見られたことによって、逃走の心配はなさそうだなぁという安心感を得られたのと、絶対にお世話にならないぞ!と決意することができました。
リモート施設見学
コロナ禍のため、今回はあらかじめ撮影&編集された動画を見る『リモート施設見学』でした。
まずは整理券を手に入れる必要があります。
各時間ごとの定員数分の整理券がホワイトボードに貼られていました。
希望時間の整理券を取ります。
府中刑務所文化祭の施設見学ツアーよりは、競争率は高くありませんでした。
希望の初回9時30分~の整理券をスムーズにゲット。
第50回横浜矯正展が無事終了しました。
— CAPIC横浜 (@capic_yokohama) November 16, 2022
コロナ禍にもかかわらず大勢の方に御来場いただきありがとうございました。
今週より刑務所作業製品常設展示場が再度OPENしました!
平日午前10時~午後4時営業しています。#矯正展 #常設展示場 #刑務所作業製品 #横浜刑務所 #リモート施設見学 pic.twitter.com/Cy4PbBZVWo
このツイートの2枚目画像がリモート施設見学の様子です。
会議室のような広めの一室に円状に椅子が並べられており、天井に投影される動画を視聴します。
動画の内容は、刑務所の大きな門が横開きで開き、施設内へ。作業場と浴室、敷地のみの紹介でした。居室の映像はありませんでした。
府中刑務所文化祭で実際の施設内に足を踏み入れたことがありますが、やはり実際に入るのと映像ではだいぶ見学感が違うなぁといった印象。
映像は15分間でした。
リモート施設見学の会場に入るには外階段で3階まで上りました。帰りはエレベーターがある館内側のドアから退場。
館内の3階~1階の展示を見ながら庁舎を出ました。
※高齢者の方が上りの階段を辛そうにしていました。また、帰りは一斉に退室するため通路が混み合っていました。
集合は各自バラバラなので入場を館内から、密集する退場を外階段とした方が足の悪い方にもコロナ対策にも良いのではないかと感じました。(来年改善希望)
模型の刑務所居室・食事(実物)・衣類の展示
庁舎の2階に模型の刑務所居室と作業着・居室着、実際の食事が展示されていました。
刑務所居室は模型なので、特に感動はありませんでした。
個人的には実際の画像を見たいところ。
防犯上難しいだろうけどホームレスよりマシ!と思われないような、過酷な環境である周知は必要なのでは?
食事は、矯正展前日の11/4の実際の朝・昼・夕食が展示されていました。
食事内容は給食のような感じでした。
主食は米70%・麦30%の混合で炊飯されています。
A食:1,600kcal、B食:1,300kcal、C食1,200kcalの三種類に分かれていて、体格、健康、年齢、作業内容を考慮のうえ、給与されています。
刑務作業製品の販売
全国各地の刑務所で、刑務作業で販売することを見越して作製された製品のことを「刑務作業製品」といいます。キャピック製品とも呼ばれます。
Correctional Association Prison Industry Cooperation(矯正協会刑務作業協力事業)の頭文字をからCAPIC(キャピック)と名付けられています。
各刑務所によって作業が異なり、靴や革製品、紙製品、洋裁、金属製品、木工製品、家具、椅子、神輿など4千品目以上の製品が作られています。
特徴はなんと言っても高品質・低価格!原材料は厳選された本格的な素材。
受刑者が作業するので、保険料などの福利関係経費がかからず、工場・倉庫の費用や経常費も抑えることができます。
刑務作業であり公益目的事業のため、販売利益が低く設定されているので質の良い製品を低価格で手に入れることができるのです。
品質的に市販品では不可能な価格の商品ばかり!
また、売上の一部は犯罪被害者支援団体への助成にも使われるため、社会貢献に寄与することにもなります。
今回購入したキャピック製品とおすすめの製品を紹介します!
[栃木刑務所]エプロン
■栃木刑務所:エプロン 2,800円(税込)
栃木刑務所は国内最大の女子受刑者の収容施設です。
洋裁の作業を行っているため、布製品が販売されていました。
中でも、エプロンがとても可愛く作りも良かったので購入しました。
胸の部分は立体的な製法をされていて、完成度の高さを感じます。
肩紐、腰紐ともに長めなのでさまざまな体型の人が楽しめます。
首のリボン部分の先端にキラキラしたボタンがついている点が特徴的。
キラキラボタンはただの飾りではなく、腰のリボン部分の穴に通せば肩にかけて着用することができます!
画像のように肩紐をクロスする、肩紐をまっすぐに着用する、腰のリボンを後ろで結ぶ、など着用方法は何パターンかアレンジできます。
この手のデザイン性が高いエプロンを探すと、結構なお値段なので3千円以内で購入できるのはお手頃。
でもエプロンに2,800円かぁ…
少し迷いましたが、販売している方も実際使用していて「何度も洗ってもこの状態!」と実際の使用感を確認できたことが決め手になりました。
新品感はないものの、しわくちゃだったりほつれたりしておらず、色あせも気になりませんでした。
生地と縫製が良い証!
[横浜刑務所]乾麺
■横浜刑務所:干しひらめん・細うどん 各160円(税込)
ひやむぎ160円(税込)、中華麺180円(税込)もありました。
横浜刑務所の乾麺は、数多くのキャピック製品の中でも売上2位の人気商品です。
1998年から製麺工場の稼働を始めているので24年も製造を続けています。
衛生面での評価も高く、衛生管理が優れた施設として横浜市から秀級施設として認定されています。(2021年)
味は普通においしいです。塩は赤穂の塩が使われています。
一袋2~3人分の量。1/3でちょうど一食分程度でした。
3回食べられるから一食約53円!
赤井英和さんもおいしそうに食べていました!いい顔!!
矯正展で買ってきた、横浜刑務所の方が作った細うどん「うまいなー」 pic.twitter.com/BLe55BtH57
— 赤井英和の嫁 佳子 (@yomeyoshiko224) October 24, 2022
[久里浜少年院]陶器
■久里浜少年院:カップ 100円 (税込)
久里浜少年院のブースではテーブルに沢山の陶器が並べられていました。
さまざまなサイズ、色、形のカップやお皿など!
全て手に取って確認したわけではありませんが、見渡す限りはどれも100円でした。
少年院ブースのみなさんが熱心に声掛けをし、説明されていたのが印象的です。
「子供たちが一生懸命作ったんです!」と教えてくれました。
決して「受刑者」と呼ばず「子供たち」と呼んでいて、我が子が作った作品をPRするかのような心のこもった説明で感動するぐらいでした。
コーヒー用にカップを購入しました。やや小ぶりのサイズが気に入っています。
コーヒーのドリップパックは、だいたい140ccのお湯を注ぐように書かれています。
ですが、市販のカップは250ml程度のサイズが多いです。
コップのサイズに対してコーヒーの量が少なく感じる点にストレスを感じていました。
このカップは140ccのコーヒーを注ぐとちょうどカップの8割ぐらいになるので、とても満足!
毎日使用しています。
いつかこの記事が、カップを作った少年の目に留まるといいなぁなんて思いながらコーヒーを飲んでいます。
ふんわり丸みを帯びているところと、持ち手が細すぎず使いやすい!
市販品と違って販売目的ではないし、きっと使う人のことを考えながら作ってくれたんだと思います。
作ってくれてありがとう!
[横浜刑務所] メモ帳
■横浜刑務所:9cm×12.5cmサイズ メモ帳 100円 (税込)
以前、府中刑務所で購入したメモ帳が紙が厚めで質が良かったので、今回も同サイズのメモ帳を購入しました。
デザインは「横濱監獄」と書かれたもの。
府中のメモ帳の方が若干厚みがありました。
文字を書いた紙を裏に入れて透け感を比べたところ、やはり 「横濱監獄」 の方が透けていて紙の薄さに違いがあることがわかります。
個人的にはデザインも紙質も府中刑務所のメモ帳の方が好きです。
人気商品
その他、以下の商品も人気でした!
[市原刑務所]しいたけ
2012年に全国で初めて刑務所でシイタケの栽培を始めた市原刑務所。
菌床作りから収穫まで全て受刑者が行っています。
人気商品ですぐに売り切れるので、矯正展では最初に買うことをおすすめします。
[函館刑務所]マル獄シリーズ
2002年から製作されていて、人気のマル獄シリーズ。
こちらの販売ブースには安定的に混んでいました。
前掛け(1,350円)や小袋などロゴが入った商品がたくさんあります。
ちなみに、マル獄デザインは商標登録されています。
[横須賀刑務所]ブルースティック
キャピック製品人気ナンバーワン!
汚れがきれいに落ちると人気の汚れ落としです。
横浜矯正展では、3本組は一人5本までの購入制限がありました。
横須賀刑務所の石鹸製造作業は、ISO9001認証も取得しています。
その他、木製のまな板も人気商品です。1万円ほどするような木材のまな板が3千円以内で手に入るとの声も。
ふるさと納税でも刑務作業製品が手に入る!
キャピック製品は刑務所に併設されている常設展示場で購入することができます。
場所はこちらから調べることができます。※併設されていない刑務所もあります。
ふるさと納税でも刑務作業品を選ぶことができます。
▼姫路少年刑務所 刑務所作業製品
▼府中刑務所 刑務所作業製品
▼大分刑務所 刑務作業製品 ★とにかくレビューが高評価!!
質がよくて安価な刑務作業品、とってもおすすめです。
矯正展ではさまざまな刑務作業品を手に入れることができます。
売上の一部が犯罪被害者支援団体の活動支援になっていることも大きなポイント。
質がよい物を手に入れて社会貢献もできる!
刑務所に興味がない人でも、是非一度は矯正展に足を運んでみて欲しいです。
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